・胃をたいせつに |
|
胃は、胃酸や消化酵素を分泌し、食物を消化し、蠕動運動によって食物を十二指腸へ送り出す働きをしています。胃液の主成分は塩酸で、非常に強い酸性です。分厚いステーキも消化してしまう胃ですが、胃そのものが溶けてしまわないのは、胃壁が粘液などのバリアーで守られているからです。
胃酸などの「攻撃因子」と胃を守る「防御因子」のバランスが保たれてこそ、胃は健康でいられます。精神的、身体的なストレスや喫煙により胃の血流は悪化し、胃の運動は低下します。激辛などの刺激物は、攻撃因子を増強させ、濃いアルコールは胃粘膜を直接攻撃します。
また、最近では、胃潰瘍や胃炎など原因の一つとして、ヘリコバクターピロリ菌が注目されています。胃潰瘍を繰り返す人の多くはピロリ菌が陽性だということがわかってきました。除菌療法が効果的なことも多く、近年、積極的に行われるようになりました。日本人に多い胃の病気を治すには、まず早期発見、早期治療が大切です。
|

・消化性潰瘍について |
※消化性潰瘍が疑われる場合は、まず医師の診察を受けましょう。
消化管のうち胃液と接触する領域に発生する潰瘍を消化性潰瘍といいます。胃酸が関与する病気は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・吻合部潰瘍・逆流性食道炎・Zolliger-Ellison症候群があります。消化性潰瘍は、『胃潰瘍(GU)』と『十二指腸潰瘍(DU)』に代表されます。
自覚症状は、心窩部痛・空腹時痛・悪心・食後痛・下血・食思不振などです。
夜間に増悪する傾向があるので、寝る前の暴飲・アルコール・タバコ等は、やめましょう。
消化性潰瘍の原因については、酸やペプシンなどの攻撃因子と粘膜防御因子の不均衡によって発生する説が広く支持されていましたが、最近では大きく変化し、世界的に治療方法について根本的な見直しがされてきています。
現在重視されている原因は
ヘリコバクターピロリ菌
非ステロイド抗炎症鎮痛剤(NSAIDs)の二つです。
ピロリ菌は十二指腸潰瘍患者の約90%、胃潰瘍患者の70〜80%に確認され、ピロリ菌の完全な除菌で75〜90%で再発が防止できるとされています。
また、鎮痛薬で胃腸障害を起こしやすいのは、胃粘膜で作られるプロスタグランジン生成の妨害に関与していると判ってきました。プロスタグランジンを投与することで粘膜保護をします。
|
| |
ヘリコバクタ−・ピロリ菌と潰瘍の関係
ヘリコバクター・ピロリが、そのウレアーゼで尿素を分解して産生したアンモニアは胃酸を中和し、H.ピロリが存在しやすい環境を作ります。慢性胃炎は、粘膜萎縮が胃全体に広がっていますので壁細胞の数が減少し胃酸分泌が低下しますので、更にH.ピロリ菌は増殖しやすくなります。そのため、慢性潰瘍と深く関与しています
。
|

・胃薬の選び方のポイント |
胃がもたれる、むかむかする、痛い、などの症状があっても、それほどひどくなければ市販の薬で済まそうという人も多いはず。そんな時の、市販薬選びのポイントです。
ただし、市販薬を数日使ってもよくならない場合は、病院へ行ってください。
|
 |
| A.胃もたれ・胸焼け・げっぷ・食欲不振などの症状が複合的に現れたとき |
総合胃腸薬
総合胃腸薬は、制酸剤、健胃剤、消化剤などの成分を複数配合したもので、日常よくみられる症状に幅広く対応できます。
 |
 |
| B. 胸焼け・げっぷをおさえたいとき |
制酸剤(炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウムなど) 胃酸を中和し、不快な症状を和らげます。
 |
 |
|
 |
| C. 二日酔いなどで、食欲がないとき |
健胃剤(ゲンチアナ、塩化カルニチンなど)胃の運動を高め、胃液の分泌を促進し消化を助けるお薬です。健胃剤は、主に生薬(漢方)が使われています。(ウイキョウ、センブリ、ソウジュツ、コウボクなど)
 |
| D. 食べ過ぎなど胃がもたれるとき |
消化剤(リパーゼ、ジアスターゼなど)
 |
 |
| E. 胃酸の過剰分泌による胃痛・胸焼け・胃もたれ |
H2ブロッカー(シメチジン、ファモチジン、ラニチジン)
 |
 |
注意点
いわゆるスウィッチOTC薬で、効き目が強く、間違った使い方をすると危険なので、薬剤師に相談のうえ正しく使用し、2週間以上の長期の服用は厳禁です。ニコチンに弱いので、たばこは控えること。スウィッチOTC薬のH2ブロッカーは長期的・予防的に服用するものではありません。特にシメチジンは外科手術なく治療できるようになり、ノーベル医学賞が授与されたほどの画期的な薬ですが、併用薬との相互作用で肝臓障害で死亡例が出るなど重篤な副作用も出ていて、使用に注意が必要な薬です。
一般市販薬も含め、一番消費されているのが胃薬です。最近は、医療用医薬品から、一般市販薬へ移行される「スウィッチOTC薬」が増えています。こういった薬の中には、必ず薬剤師が詳しい説明をし、パンフレットをお渡しする事を義務付けられた製品もあります。例えば、ガスター10(一般名:ファモチジン)は副作用に充分注意しなければいけない薬の一つです。信頼できる薬剤師にご相談ください。
H2ブロッカーとは…
『H』とはヒスタミンのこと。『2』とはヒスタミンの受容体のうち2番目に発見された受容体のことで、『ブロッカー』とはその受容体を遮へいするものという意味です。ヒスタミンとは胃酸の分泌を促進する物質で、これが胃壁の中にあるH2受容体という場所にくっついて胃酸の分泌を促します。H2ブロッカーは、ヒスタミンのかわりにこのH2受容体にくっついて胃酸の分泌を抑えます。H2ブロッカーがくっついてしまうと、胃酸分泌の命令系統が遮断されて、胃酸分泌にストップがかかります。ただ、H2ブロッカーはニコチンに弱いので、せっかく薬を飲んで胃酸を抑えても、煙草を吸うと、2時間ほどで薬は追い出されてしまいますから煙草は控えて下さい。

|
| F. 胃内ガス |
胃内圧および胃内ガス貯留を解消
 |
 |
|
| G. 胃や腸が痛むとき |
鎮痛鎮痙剤
鎮痛鎮痙剤は、胃の活動を支配している副交感神経を遮断する作用により、過剰な胃酸分泌や胃の緊張による痛みを抑えます。オキセサゼインやロートエキスなどがあります。
 |
 |
| ・ストレスをためない生活を |
ストレスの関与する潰瘍では、粘膜下層の細動静脈血管が血流分布異常を起こし、自律神経緊張によって血管痙攣から粘膜の虚血やうっ血をおこし血管透過性亢進と血管を損傷し、さらに浮腫をおこして、粘膜障害をおこします。
まじめで几帳面な人、いつまでもくよくよ気にする人、心配性の人などはストレスを貯めこみやすいタイプなので、ストレスをうまく発散するように心がけましょう。
|
 |
|
※ ストレスによって、体に影響が出ない様にコントロールしてくれるのがシベリア人参です。
※ 甘草は、体の抵抗力を高める、という効果があるためさまざまな薬効があります。
胃粘膜を保護し肉芽形成を促進するので、胃・十二指腸の消化性潰瘍を治すためにも使われてきました。余談ですが、ナポレオンは、家系に胃ガンの人が多いことから、これを恐れ、いつも甘草をかんでいたといわれています。重い副作用はまずありませんが、甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
|
 |

|
|
胃・十二指腸潰瘍などに使われる薬には、胃酸の分泌を抑制するH2ブロッカーとプロトンポンプインヒビター(プロトンポンプ阻害薬)があります。プロトンポンプインヒビター(PPI)の方が、H2ブロッカーより胃酸を強力に抑えるといわれています。症状・病態によって使い分けられています。
|
 |

H2ブロッカー
 |  |

プロトンポンプ阻害薬
 |
| 一般名 | シメチジン | 塩酸ラニチジン | ファモチジン | オメプラゾール | ランソプラゾール |
 |  |
| 商品名 | タガメット | ザンタック | ガスター | オメプラール | タケプロン |
 |  |
| 作用機序 | H2受容体をブロックして胃酸分泌抑制 | 胃酸分泌の最終過程のプロトンポンプの働きを抑えることによって強力に胃酸分泌を抑える |
 |  |
| 主な副作用 | 血液障害ショックアナフィラキシー様症状汎血球減少(赤血球、白血球、血小板が減少する症状)女性化乳房 便秘 発疹間質性腎炎皮膚粘膜眼症候群再生不良性貧血 | ショック,アナフィラキシー反応,汎血球減少,血小板減少,無顆粒球症,溶血性貧血,血液障害,肝障害,下痢,便秘,頭痛,発熱, 間質性肺炎 |
 |  |
| 備考 | 併用薬との相互作用に注意テオフィリンワルファリンフェニトインなど | 胃酸分泌抑制効果は、シメチジンの約8倍といわれています 作用時間も長い | シメチジンの約30倍の効果 作用時間も長い | 副作用と効果の兼ね合いから、使用期間は6〜8週間と規制されています。上部消化管出血や胃炎や麻酔前投薬には使えません。ゾリンジャー・エリソン症候群・逆流性食道炎・吻合部潰瘍には使えます。 |
|
 |
| H2ブロッカーはスイッチOTC薬として承認され、1997年9月から販売され、テレビでも大々的に宣伝がなされました。注)日本では、プロトンポンプ阻害薬は医療用です。
アメリカではサプリメントの成分などの規制はFDA(Food and Drug Administration)が行っています。
FDAは6月20日、オメプラゾールを、胸やけ治療のOTC薬として承認しています。既存のOTC胸やけ治療薬には胃酸分泌抑制剤と制酸剤があるが、オメプラゾールはプロトンポンプ阻害薬として初めてのOTC薬となる。週に2日以上起こる頻回の胸やけを適応症とする遅延放出型の20mgの錠剤で、効果発現までに1日から4日間かかるとされる。用法用量は1日1回14日間。これを4カ月に2回以上は繰り返さないよう指導されている。同時により重篤な消化器系疾患を見過ごさないよう注意が喚起される。患者にとってはコスト低下や自己治療の選択が可能になると期待されています。
プロトンポンプ阻害作用(オメプラゾール等)とは…
酸分泌に関連する受容体は最終的にはプロトンポンプという部分を経由して酸分泌を行うことがわかってきました。そこでプロトンポンプの働きを抑えることによって強力に胃酸分泌が抑えられるようになりました。ヘリコバクター・ピロリの除菌補助にも使われます。
|